09 絵の体温
流れ出したアトリエ時間
4月の新学期の慌ただしさも過ぎ、5月の連休も終わってしばらくたち、アトリエにも一定のリズムが戻りつつある今日この頃です。
今年のはじめは、家のことにかかりきりでした。家族のサポートに奔走しているうちに、あっという間に時間は過ぎて、まとまったアトリエ時間もとることができず、絵の方はすっかり乾き気味に。
そして春になって、ひと区切りつくと、またぽっかりと時間が戻ってきました。
「とくに何も起きない、慌ただしくない、普通の日々」を久しぶりにしみじみと噛みしめつつ、またじわじわと、心も頭も絵の方へ戻していきます。なまってしまった感覚はすぐには戻らないけれど、経験上、こんなときはとにかく手を動かすことです。
ストーブの火は、ほったらかしでは消えてしまいます。(もう初夏だというのにストーブのたとえですみません。冬が好きなんです。)空気の通り道を作ったり、ちょうど良い太さの薪を足したり。火には、こまごまとした世話が必要です。創作も似たようなものだと感じます。
しばらく遠ざかっていると、アトリエの空気、スケッチブック、画材。そんな相棒たち全てが、なんとなくよそよそしく、火が消えてしまったように感じられます。まるで人がいなくなった家のようだななんて思ったり。
そんなとき、いちばん欠けているのは「生きている感じ」なのかなと思います。
だからまずは、生きた温度のあるものを探します。独自に生きているような感じがする線や筆跡。紙の上に、ふと何かが現れたら、それを見逃さないように。そしていったん見つけたら、その種火を絶やさないよう育てていく、そんな5月です。




